介護タクシーで介護保険が使えるケースとは？その適用条件と、メリット・デメリットをわかりやすく解説

介護タクシーを利用する際に、「できるだけ利用料金を安く済ませたい」と考えるのは、とても自然なことです。

介護保険を申請・適用して利用すれば、介助料などの自己負担額を減らすことができます。

しかし、介護保険適用のタクシーは、誰でもすぐに利用できるわけではありません。

申請条件が厳しかったり、利用目的に制限があったりと、思っているよりも不便と感じる場合もあります。

この記事では、介護保険を利用する際の手続きや条件、そして保険が使えない場合の選択肢について詳しく解説していきます。

本記事を読み、利用される方にとってベストな介護タクシーを選択していきましょう。

「介護保険適用のタクシー」とは？

移動が困難な方が利用できるタクシーには、大きく分けて以下の2種類があります。

1. 介護保険適用のタクシー（以下：介護保険タクシー）
2. 介護保険適用外のタクシー（以下：介護（福祉）タクシー）

「介護保険タクシー」は、保険が適用されるため自己負担額が抑えられますが、利用にはケアマネジャーを通す必要があり、利用目的も限定されます。

一方、「介護（福祉）タクシー」は全額自己負担ですが、誰でもすぐに利用でき、介助の範囲や使えるシチュエーションが幅広いのが特徴です。

では、まず「介護保険タクシー」が使える条件と手続きについて詳しく見ていきましょう。

介護保険が使えるのは、どんなケース？

「介護保険タクシー」を利用する場合、正式名称は「通院等乗降介助」というサービスになります。 利用には以下の条件が必要です。

1. 要介護1以上であること
2. ケアマネジャーによるケアプラン（介護計画書）の作成があること
3. 利用目的が「通院」「選挙」などの必要最低限であること

また、介助の範囲は原則として「自宅・病院の玄関から車両まで」の短距離に限られます。

○ 保険適用になり得るケース

「公共交通機関（バス・電車）での移動が著しく困難」であり、かつ「日常生活に不可欠」な場合です。

• 人工透析や病院でのリハビリなど、定期的かつ継続的な通院
• 独居で、家族のサポートが一切受けられない場合
• 自宅からバス停までが遠く、歩行が困難な場合

× 保険適用外になり得るケース

たとえ通院であっても、以下のような場合は保険が使えないことがほとんどです。

• 入退院や転院
  「日常生活上の行為」ではないとみなされ、対象外とする自治体が多いです。
  
  
• 院内介助が必要な場合
  「通院等乗降介助」は移動の介助に限られるため、院内の付き添いや待ち時間は保険の対象外となります。（院内は病院スタッフの対応が基本となります）
  
  
• 家族が同乗したい場合
  家族の同乗が可能であれば、自家用車や公共交通機関による付き添いで対応できると判断される場合があります。

また、当然ながら「久しぶりに孫に会いたい」などの趣味・娯楽の外出や、スーパー・デパートへの買い物は一切認められません。

介護保険を利用する際の手続き

では、実際に介護保険の申請から介護保険タクシー利用までの手続きをご紹介します。

このように、介護保険適用のタクシーを利用するには、いくつもの工程が必要となります。

なお、介護保険タクシーの初回利用までに、最短でも数日、場合によっては数週間ほどかかる場合もあるため、急な外出や退院時に間に合わないケースもあります。

自由度の高い「介護（福祉）タクシー」という選択肢

「手続きが面倒」「急いでいる」「家族も一緒に乗りたい」 そのような場合は、あえて介護保険を使わずに「介護（福祉）タクシー」を利用するという選択肢があります。

全額自己負担にはなりますが、介護保険タクシーにある「利用の制限」が一切ないため、利用者やご家族のQOL（生活の質）を高めることができます。

介護保険タクシーでは「できない」ことが可能に

介護（福祉）タクシーなら、以下のようなシーンにも柔軟に対応可能です。

• 院内介助もOK
  受付・会計時のサポートや、診察室への移動介助まで依頼できます。
  
  
• 買い物や外出の同行
  通院の帰りにスーパーやデパートへ寄ったり、冠婚葬祭やお墓参りに行くことも可能です。
  
  
• 利用者以外の同乗
  ご家族や友人が何人でも（車両の定員まで）同乗できるため、車内で楽しく会話をしながら移動できます。

最大のメリットは、思い立った時にすぐ予約ができる点です。

利用にあたって、ケアマネジャーを通す必要も、役所への申請も必要ありません。

一般的なタクシーやレストランを予約するのと同じ感覚で、利用者やご家族が直接事業者に予約をするだけで手配が完了します。

「朝起きたら熱っぽいので病院に行きたい」
「天気がいいから桜を見に行きたい」

といった当日の急なニーズにも、空きさえあれば即座に対応してもらえる「気楽さ」が魅力です。

介護保険タクシーと介護（福祉）タクシーの違い（メリットとデメリット）

ここまで解説した2つのタクシーについて、それぞれの違いや特徴（メリット・デメリット）を表にまとめました。

ご自身の状況に合わせて、どちらが合っているか確認してみましょう。

比較項目	介護保険タクシー（保険適用）	介護（福祉）タクシー（保険適用外）
利用できる人	要介護1以上 （ケアプラン必須）	年齢・要介護度関係なく 誰でも利用可能
利用目的	通院／選挙など限定的	自由（通院・買物・旅行など）
費用	自己負担1〜3割 （＋運賃）	全額自己負担
予約方法	ケアマネジャー経由	直接予約（電話・アプリ）
予約しやすさ	即日・当日利用はほぼ不可	当日・直前予約がしやすい
介助の範囲	玄関〜車両のみ	院内、買い物同行など幅広い
家族同乗	原則不可	自由に同乗が可能

介護保険タクシーと介護（福祉）タクシーのより詳細な違いや料金については、以下の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

介護（福祉）タクシーが簡単に呼べる「よぶぞー」

介護（福祉）タクシーは便利ですが、「自分で業者を探して電話をするのが大変」「料金がいくらかかるか不安」というデメリットもあります。

それらを解消するのが、介護（福祉）タクシー予約アプリ「よぶぞー」です。

• 電話不要で予約完了
  何軒も電話をかけ続ける必要はありません。タクシー会社とのやりとりなしで、アプリのみで予約が完結します。
  
  
• 予約前に「目安料金」を確認できる
  距離や時間から算出された目安料金をドライバーごとに提示。金額に納得した上で、ご要望に合うドライバーを指定して依頼できます。
  
  
• 希望オプションも選ぶだけ
  車椅子やストレッチャー等のオプションもアプリで簡単に選択・確認が可能です。

初めて介護（福祉）タクシーを利用する人や、急な退院・たまの外出などで介護（福祉）タクシーを急遽使いたい人と考えている方にもおすすめです。

まとめ

今回は、介護保険タクシーの仕組みや手続き、そして自由度の高い介護（福祉）タクシーとの違いについて解説しました。

• 「定期的・長期的」な通院で、費用を抑えたいなら介護保険タクシー（要ケアマネ相談）。
• 「単発・緊急・私用」の移動で、自由に使いたいなら介護（福祉）タクシー。

それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご自身の状況に合わせて最適な移動手段を選んでいきましょう。