「車椅子マークの駐車場は介助者がいても使えるの?」
「車椅子使用者しか利用できないの?」
「利用証が必要?」
車椅子マークの駐車場は、横幅が広く、出入口付近に設けられており、車椅子ユーザーや足の不自由な高齢者にとって欠かせない駐車区画です。
しかし、利用対象や使い方がよくわからず戸惑う人も少なくありません。
この記事では、車椅子マークの駐車場の利用対象者や利用方法、注意点について詳しく解説します。
あわせて、円滑な利用を支える「パーキング・パーミット制度」の紹介や、よくある質問にもお答えします。
記事を読んで、疑問を解消し正しく利用しましょう。

車椅子マークの駐車場とは
車椅子マークの駐車場の正式名称は「車椅子使用者用駐車施設」です。
公共施設や商業施設などに設けられており、車椅子ユーザーや障がいのある方など車の乗り降りや移動に配慮が必要な人のための専用駐車スペースです。
主な特徴は次の3つです。
- 車椅子での乗り降りがしやすいよう、横幅が3.5m以上と広めに設計されている
- 建物の出入口やエレベーターの近くなど、アクセスしやすい場所に設置されている
- 車椅子マーク(国際シンボルマーク)が表示されている
車椅子ユーザーなど障がいのある方にとって、通常の駐車スペースでは車の乗り降りが非常に困難です。スムーズに乗り降りするためには、広い横幅が確保された駐車場が必要です。
例えば、車椅子ユーザーが運転する場合、ドアを全開にして車椅子から運転席に移り、座った状態で車椅子を車内に収納しなければなりません。この作業には幅3.5m以上の広いスペースが不可欠です。
もし車椅子マークの駐車場が空いていなければ、空くまで車内で待機せざるを得ないこともあります。
そのため、本当に必要としている人が安心して利用できるように思いやりと配慮を持ち適正に利用することが大切です。
車椅子マークの駐車場の対象者は?
国土交通省によると、車椅子マークの駐車場は車いすユーザーだけでなく高齢者や障がいのある人なども対象です(バリアフリー法に基づく)。
以下引用
Q 令第17条に定める「車いす使用者用駐車施設」は、車いすユーザーだけにその利用を限定しているものですか。
A 当該駐車施設の構造及び配置上の内容が車いすユーザーにとっても利用しやすく配慮されたものであるため、「車いす使用者用駐車施設」と規定していますが、法令上、車いすユーザーだけでなく、身体の機能上の制限を受ける高齢者・障害者等であれば、「車いす使用者用駐車施設」を利用することは可能です。
ただし、車いすユーザーは乗り降りに広いスペース(幅3.5m以上)が必要なため、ほかの対象者とは利用の必要性が大きく異なります。
そのため、車いすユーザーがスムーズに利用できない状況が生じる場合、施設管理者が利用対象を「車いすユーザーのみ」に限定することが望ましいとされています。
つまり、原則としては車いすユーザー以外の高齢者や障がい者なども広く利用できますが、状況に応じて「車いす使用者のみ」に制限されていることがあります。
表示に注意
車椅子ユーザー以外の人が車椅子マークの駐車場を使用する際は、表示に注意しましょう。
駐車場に、「車椅子専用駐車スペース」などの明確な表示がある場合は、その区画は車いすユーザー専用です。
一方、表示がなければ高齢者や障がいのある方も利用可能と判断できます。
参照:国土交通省|車椅子ユーザー用駐車施設等の適正利用に関するガイドライン
車椅子マーク(国際シンボルマーク)の意味

車椅子マーク(国際シンボルマーク)は、車いすユーザーに限らずすべての障がいのある人を対象とした国際的なシンボルです。デザインから「車いす専用」と誤解されがちですが、障がい全般への配慮を示すものです。
介助者がいる場合の利用
国土交通省のガイドラインでは、介助者が運転する車両に車いすユーザーが同乗している場合も、車椅子マークの駐車場を利用できます。
そのため、「介助者がいるから利用できないのでは…?」と不安に思う必要はありません。車いすユーザーが同乗していれば問題なく利用可能です。
また、移動手段として福祉タクシーを利用する場合も同様です。福祉タクシーの利用者は、高齢者や障がい者など、移動に配慮が必要な方が多く、基本的に車椅子マークの駐車場の対象となります。
福祉タクシーを呼べるアプリ「よぶぞー」
最近では、福祉タクシーの予約や手配をよりスムーズに行える配車アプリも登場しています。
介護タクシー配車アプリ「よぶぞー」では、乗車される方の介護情報や待ち合わせ場所、過去の行き先などを記録しておけるため、次回の予約時に再入力の手間がなくスムーズに予約が可能です。
さらに、予約時に必要な介助サービスの内容や人数、車椅子・ストレッチャーの利用可否といった条件を指定すれば、それに合った福祉タクシーを手配してくれます。
車椅子マークの駐車場を利用する場面でも、適切な車両・サービスが確保されるため、より安心して外出できる環境が整います。

車椅子マークのステッカーは必要?
駐車場で車椅子マークのステッカーを貼っている車を見かけることがありますが、貼付は義務ではありません。ステッカーは周囲に障がい者が乗車していることを知らせるために任意で使用されています。
車いすユーザー以外は優先駐車場も利用しよう
優先駐車場は、移動に配慮が必要な高齢者、妊産婦、けが人などが対象です。車椅子マークの駐車場ほど広いスペースはありませんが、施設へのアクセスがしやすい場所に設置されています。
優先駐車場は「思いやり駐車場」など、自治体ごとに名称が異なります。車いすユーザーの利用を妨げないために、優先駐車場が設けられている場合はそちらを活用しましょう。
パーキング・パーミット制度を活用しよう

車椅子マークの駐車場や優先駐車場を利用する人は、パーキング・パーミット制度の活用がおすすめです。
パーキング・パーミット制度は、障がい者等用駐車スペースを本当に必要な人が使えるようにするための仕組みです。利用証を発行することで対象者を明確にし、不適切利用を防ぎます。
令和5年12月時点で、全国41都道府県で導入されています。制度を導入している施設では利用証の提示を求める表示がされている場合が多く、不適切な利用を防ぐ効果があります。
パーキング・パーミット制度を利用することで、外見ではわかりにくい障がいがある人も安心して車椅子マークの駐車場を利用できます。
また、多くの自治体で相互利用協定が結ばれており、自分の住んでいる地域で発行された利用証で旅行先など他の地域でも利用が可能です。
参照:総務省東北管区行政評価局|国の行政機関におけるパーキング・パーミット制度への登録に関する情報収集結果
パーキング・パーミットの制度名
パーキング・パーミットの制度名は、地方公共団体によって異なります。
ここでは、制度名の一部を紹介します。
地方公共団体 | 制度名 |
福島県 | おもいやり駐車場利用制度 |
千葉県 | ちば障害者等用駐車区画利用証制度 |
大阪府 | 大阪府障がい者等用駐車区画利用証制度 |
福岡県 | ふくおか・まごころ駐車場制度 |
※制度名・申請条件は自治体によって異なります。詳細はお住まいの自治体へお問い合わせください。
パーキング・パーミット制度が未導入の地域での対応
パーキング・パーミット制度が導入されていない地域では、施設ごとに障害者等用駐車区画の利用許可証を独自に発行しているケースがあります。
また近年では、パーキング・パーミットの利用証を持っていれば独自の許可証がなくても利用できるようにしている施設も増えています。
そのため、制度を導入していない地域への旅行や外出の際にも、パーキング・パーミットの利用証を携帯しておくと良いでしょう。
【車椅子マークの駐車場】利用時の注意点

車椅子マークの駐車場を利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 駐車場の表示内容を必ず確認する
- 利用証が必要な場合は、車内の見える位置に掲示する
- 必要がない場合は、優先駐車場や一般の駐車スペースを使用する
駐車場の表示内容を必ず確認する
利用する際は、表示内容をよく確認し「車椅子専用」となっていないかや利用証の提示が必要かどうかを事前に確認しましょう。
利用証が必要な場合は、車内の見える位置に掲示する
パーキング・パーミット制度などの利用証の提示が求められている場合は、車内の見えやすい場所に利用証を掲示しましょう。
必要がない場合は、優先駐車場や一般の駐車スペースを利用する
車椅子マークの駐車場は数に限りがあるため、本当に必要な方が利用できるよう配慮しましょう。利用対象であっても特に広いスペースを必要としない場合は、優先駐車場や一般の駐車スペースを利用しましょう。
車椅子マークの駐車場の課題
パーキング・パーミット制度の導入が進む一方で、依然として車椅子マークの駐車場の不適切な利用が課題となっています。
国土交通省は、ポスターやメディアによる啓発活動、運転免許更新時の周知などを通じて意識向上を図っています。また、機械式ゲートや監視カメラの導入などの対策も進められています。
今後は、罰則の導入や情報システムを使った不適切利用の防止策も検討されています。
よくある質問
車椅子マークの駐車場を不適切利用したら罰則がある?
現時点では明確な罰則は定められていませんが、不適切利用の問題が解決しない場合は今後罰則が導入される可能性もあります。
すでにアメリカやイギリスなど他の先進国では明確な利用基準が設けられており、不正利用した場合はレッカー移動や罰金などの罰則が課せられています。
車椅子マークのステッカーはどこでもらえる?
車いすマーク(国際シンボルマーク)のステッカーは、ホームセンターや通信販売サイトなどで市販されています。
また、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会も販売しています。
▼公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会の車いすマーク販売案内ページ
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会|国際シンボルマーク(車いすマーク)の普及・使用の管理
車椅子マークの駐車場を利用するには許可証が必要?
施設によっては、パーキング・パーミット制度などの利用証が求められる場合があります。確実に利用するには、制度への登録がおすすめです。
パーキング・パーミット制度を導入していない自治体に住んでいる人が、制度を導入している自治体の駐車場を利用したい場合はどうすればいい?
買い物や旅行などでパーキング・パーミット制度を導入している地域を訪れる場合、一部の自治体では訪問者向けに利用証を発行しています(例:群馬県、石川県、長野県など)。
こうした自治体では、事前に申請することで一時的な利用証が交付されるため、訪問先の自治体に確認してみましょう。
パーキングパーミット制度の利用証には有効期限がある?
自治体や申請理由によっては、 パーキングパーミット制度の利用証に有効期限が設けられている場合があります。
各自治体によって対応が異なりますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
まとめ
車椅子マークの駐車場は、車椅子ユーザーだけでなく身体の不自由な高齢者や障がいのある方も利用できます。
ただし、施設によっては「車椅子使用者専用」としている場合もあるため、利用の際は現地の表示をよく確認しましょう。
お住まいの自治体でパーキング・パーミット制度が導入されている場合は、登録することで安心して利用できます。ぜひ活用を検討してみてください。
車椅子マークの駐車場を本当に必要とする人がスムーズに使えるように、ルールを理解し思いやりを持って適正な利用を心がけましょう。