UDタクシーとは?一般タクシーや福祉タクシーとの違いや利用方法を解説

UDタクシー

UDタクシーとは、車いすやベビーカー、荷物の多い人などさまざまな人が利用しやすいように設計されたタクシーです。

誰でも気軽に使える便利なタクシーですが、一般的なタクシーとの違いや利用方法がわからないという人も少なくありません。

この記事では、UDタクシーについて徹底解説します。一般的なタクシーとの違いや利用方法、都道府県別のUDタクシーの車両数と割合もご紹介します。

記事を読んで疑問を解決し、UDタクシーを使って快適に移動しましょう。

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UDタクシーとは

UDタクシー(ユニバーサルデザインタクシー)とは、誰でも利用しやすいように設計された車両を利用したタクシーです。

車内空間にゆとりがあり、乗降口が広くスロープも完備しているため、車いすユーザーや高齢者、妊娠中の方、荷物の多い人などにも使いやすいのが特徴です。

街中で呼び止めたり、予約したりして一般のタクシーと同じように利用でき、運賃も一般的なタクシーと同じです。

トヨタの「ジャパンタクシー」という車種が使用されることが多いことから「ジャパンタクシー」と呼ばれることもあります。

UDタクシーマークが目印

UDタクシーに認定されている車両には、見た目で判別しやすいように「UDタクシーマーク」が付いています。

UDタクシーを探すときはUDタクシーマークをチェックしましょう。

引用元:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_koutu/tabi2/ud-taxi/ud-authorize.html

特徴

UDタクシーの特徴を5つ紹介します。

UDタクシーの主な特徴
  1. スロープを完備
    • スロープを利用して、車いすのまま乗り降りができます。
  2. 車いすのまま移動できる
    • 車内で車いすを固定し、車いすに座ったままシートベルトを装着し、安全に移動できます。
  3. 広いラゲッジスペース
    • ラゲッジスペース(荷室)が広いので、キャリーケースや大きな楽器も積載できます。
  4. 乗り降りしやすい乗降口
    • 乗降口が広く、手すりがあり段差がゆるやかなので、足腰の悪い方や妊娠中の方も安心して乗り降りできます。
  5. 広い車内空間
    • 一般的なタクシーよりも車内空間が広くゆったりとくつろげます。


車種

UDタクシーに使用される主な車種は下記の通りです。

  • ジャパンタクシー(トヨタ)
  • シエンタ ウェルキャブ仕様タイプ1(トヨタ)
  • ノア/ヴォクシー 車いす仕様タイプ1(トヨタ)
  • NV200タクシーユニバーサルデザイン(日産)
  • セレナユニバーサルデザインタクシー(日産)

UDタクシーの代表的な車種はトヨタのジャパンタクシーですが、近年はジャパンタクシー以外の車種も徐々に増えています。

こんな人におすすめ

UDタクシーは、下記に当てはまる人におすすめです。

  • 大きい荷物やたくさんの荷物を運ぶ人
  • 着物やドレスなどセダンタイプの車両に乗りにくい服装の人
  • ベビーカーを使用している人
  • 車いすユーザー
  • 妊娠中の人
  • 足腰が悪い人

また、上記に当てはまらない人も一般的なタクシーと同じように利用できます。

一般的なタクシーとの違いは?

UDタクシーと一般的なタクシーとの違いを紹介します。

車いすから降りずに移動できる

車いすで一般的なタクシーに乗る場合は、タクシーを畳んでトランクに入れる必要があります。

一方、UDタクシーの場合はスロープを利用して車いすのまま乗車し、車いすごとシートベルトを装着して移動できます。

大きい荷物を運べる

一般的なタクシーではトランクに入るサイズの荷物しか運べませんが、UDタクシーは広いラゲッジスペース(荷室)があるため大きい荷物も運べます。

開放感がある

UDタクシーは、車内の高さ・広さともにセダンタイプよりもゆとりがあり、乗車時の視線の位置も高いため開放感があります。

福祉タクシーとの違いは?

UDタクシーと福祉タクシーは、どちらも高齢者や障がいのある方の移動をサポートするための車両ですが、サービス内容や利用方法にいくつか違いがあります。

介助サービスの有無

UDタクシーは、あくまで「誰でも使える」一般タクシーの一種であり、介助サービスは基本的についていません。

乗降時のスロープ設置や車いす固定などは乗務員が対応しますが、病院内への付き添いや自宅の中までのサポートなどの介助は行いません。

福祉タクシーは、利用目的も病院などの通院の送迎はもちろん、買い物や映画館、スポーツ観戦、レジャーなど、様々な目的に利用ができます。

運転手に介助などを頼む場合、運賃の他に介助料が発生することがあります。

利用方法

UDタクシーは街中を走っており、他のタクシーと同様に流しやタクシーアプリ、電話などで手配することができます(ただし台数が少ない地域も多いため、事前予約が安心です)。

福祉タクシーは完全予約制であり、事前に電話やアプリで予約を取る必要があります。必要に応じて、ストレッチャーや介助者の手配も可能です。

料金体系

UDタクシーの料金は、基本的に通常のタクシーと同じです。

福祉タクシーは、介助の内容や距離によって追加料金が発生する場合があります。また、自治体の助成制度(福祉タクシー券など)を利用できることもあります。

簡単に福祉タクシーを手配する方法

福祉タクシーは、病院への送迎だけでなく、買い物やレジャーなど幅広い用途に利用でき、運転手による介助サービスを受けられる場合もあります。

自治体の助成制度(福祉タクシー券など)が使えるケースも多く、介助や支援が必要な方にとって心強い移動手段です。

こうした福祉タクシーをスムーズに手配できるのが、福祉タクシー配車アプリ「よぶぞー」です。
スマホひとつで、必要な介助内容や利用条件に応じた福祉タクシーを簡単に予約できます。

旅行やレジャーなどにも活用でき、サポートが必要な方にとって頼れるサービスです。

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UDタクシーの利用方法

UDタクシーの利用方法を詳しく解説します。

配車方法

UDタクシーは、一般のタクシーと同様に街中で呼び止めるか、電話や配車アプリから予約できます。

ただし、利用時には以下の点に気を付けましょう。

電話予約の場合

UDタクシーを導入しているタクシー会社かどうかを確認し、UDタクシーを希望する旨を伝えましょう。

配車アプリの場合

UDタクシーの指定ができるかはアプリによって異なるため、事前に確認しましょう。

利用するエリアによってはUDタクシーの数が少なく、希望の時間に利用できない可能性もあります。そのため、早めに予約しておくのがおすすめです。

乗車・降車の流れ

UDタクシーを車いすのままで利用する場合の乗車・降車の流れを紹介します。

UDタクシーの乗車・降車の流れ
  1. 乗務員が後部座席と助手席を畳んで車いすの乗車スペースを作り、スロープを設置します。
  2. スロープを使用して車いすのまま乗車し、乗務員が車いすを固定し車いすごとシートベルトをします。
  3. 目的地に到着し支払いを済ませたら、乗務員が降車スペースを作りシートベルトや車いすの固定器具を外します。
  4. 乗務員がスロープを設置し、降車します。

利用時の注意点

UDタクシーを利用する際は、下記の点に注意しましょう。

  • 車いすの種類によっては利用できない場合がある
  • 車いすで利用する場合の同乗者は1名まで
  • スロープを利用するには乗降場所に充分なスペースが必要
  • 乗車・降車に時間がかかる
  • 介助サービスはついていない

車いすの種類によっては利用できない場合がある

車いすの種類によっては、車いすのまま乗車できない場合があります。UDタクシーの車種によって、乗車可能なサイズ・重量は異なります。

ここでは一例として、ジャパンタクシーに車いすのまま乗車できるサイズ・重量をご紹介します。

【対応サイズ】

高さ130㎝・長さ120㎝・幅70㎝以内

【スロープの耐荷重】

  • 緑のUDタクシーマークの車両

耐荷重200kgまで

  • ピンクのUDタクシーマーク車両

耐荷重300kgまで

※耐荷重は、車いすの重量・車いす使用者・介助者の合計の重量です。

上記の条件のほかにも、一部の海外製の車いすや車輪に角度の付いているスポーツ用車いすなど形状によっては車いすのまま乗車できない場合があります。

心配な場合は、事前にタクシー会社に確認しましょう。

車いすで利用する場合同乗者は1名まで

通常の定員は4名までですが、車いすで利用する場合はスペースの都合で同乗者は1名までになります。同乗者が2名以上いる場合は、もう1台タクシーを手配する必要があるので注意しましょう。

スロープを利用するには乗降場所に充分なスペースが必要

スロープを使用して乗り降りする場合は、乗降場所に充分なスペースが必要です。段差や障害物があると安全に乗降できないため、乗降場所の変更が必要になります。

乗降場所は事前に確認をしておきましょう。

乗車・降車に時間がかかる

スロープの設置・収納や車いすの固定、シートベルト装着などを行うには、乗車・降車にそれぞれ15分程度時間がかかります。

スロープを利用する場合は、時間に余裕を持って出発しましょう。

介助サービスはついていない

UDタクシーには、介助サービスは付いていません。

乗り降りの際の案内や荷物の積み下ろしなどは乗務員が対応しますが、介助が必要な場合は介助者と同乗する必要があります。

介助者がいない場合は、介助サービス付きの福祉タクシーを利用しましょう。

【都道府県別】UDタクシーの車両数と割合

国土交通省の調査によると、2022年度末の関東の各都道府県におけるUDタクシーの車両数と総車両数(タクシーとUDタクシーの合計数)に対するUDタクシーの割合は下記の表の通りです。

都道府県UDタクシー車両数各都道府県の総車両数に対するUDタクシーの割合
東京17,32257.5%
神奈川1,68117.6%
千葉1,23022.0%
埼玉1,02118.2%
群馬765.4%
栃木県1573.9%
茨城県9714.6%

表をみると、UDタクシーの車両数や割合は都道府県によってかなり差があることがわかります。

東京においては57.5%とUDタクシーの割合が多いですが、他の都道府県では一般的なタクシーよりも数が少ないことがわかります。

背景として、東京都では2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までにUDタクシー1万台を目指して導入支援を行ったため、他の都道府県よりも導入が進んでいると考えられます。

そのため、東京ではUDタクシーの普及が進んでおり利用しやすい状態ですが、他の都道府県では台数が少なく利用が難しい地域もあります。

参照:国土交通省|基本方針に定める移動等円滑化の目標達成状況

参照:一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会|東京のタクシー

UDタクシーの現状と今後

UDタクシーは、障がい者や高齢者、妊娠中の方などが安心してスムーズに移動できる大切な交通手段です。  

しかし、UDタクシーの車両は一般的なタクシーよりも価格が高いため普及が進みにくいのが現状です。  

国土交通省は、バリアフリー車両の普及を進めることで誰もが安心して移動できる暮らしやすい社会の実現を目指しています。

その一環として、2025年度末までに各都道府県のタクシー総数の約25%をUDタクシーにすることを目標に掲げています。  

普及を促進するため、令和7年度も特例としてUDタクシーを含むバリアフリー車両の自動車税を軽減する措置を実施しています。

現在、多くの都道府県ではUDタクシーの割合が25%に達していませんが、今後さらに導入が進み、誰もがより快適にタクシーを利用できる環境が整っていくでしょう。  

参照:国土交通省|ノンステップバスやUDタクシー等のバリアフリー車両に係る特例措置(自動車税・自動車重量税)

UDタクシーのよくある質問

UDタクシーのよくある質問に回答します。

UDタクシーと福祉タクシーは違うの?

UDタクシーと福祉タクシーは似ているサービスですが、いくつか異なる点があります。

利用者にとっての主な違いは以下の2点です。

介助サービスの有無

UDタクシーには介助サービスはついていません。一方、福祉タクシーの場合は、事業者によっては介護関連資格を持つドライバーが介助サービスを提供しています。

UDタクシーに車いすの方がスロープで乗車する場合、ドライバーが後ろから押す程度ことはしてくれる場合がありますが、原則として介助サービスはついていないためドライバーによって対応が異なります。

利用方法

UDタクシーは一般タクシーのひとつであり、通常のタクシーと同じように街中を走っているUDタクシーに手を挙げて気軽に乗車できます。

一方、福祉タクシーを利用するには事前に予約が必要です。

ただし、UDタクシーの台数は限られているため、確実に使用したい場合はUDタクシーも事前予約をしておいた方が安心です。

UDタクシーマークの緑とピンクの違いは?

UDタクシーマーク

UDタクシーマークは、スロープの耐荷重によって色が違います。

耐荷重200kgまで

  • ピンク

耐荷重300kgまで

特に、電動車いすの場合は耐荷重に注意が必要です。

電動車いすは重さが100㎏ほどあるので、車いす使用者と介助者の体重を足すと耐荷重200kgのスロープでは対応できない可能性があります。

電動車いすで介助ありで乗車する場合は、ピンクのUDタクシーマークがついているタクシーが安心です。

UDタクシーを予約するにはどこに電話すればいいの?

UDタクシーを電話予約する場合は、利用エリアにあるUDタクシーを導入しているタクシー会社に電話しましょう。

導入しているかわからない場合は、タクシー会社のHPをチェックしたり電話で直接聞いたりして確認しましょう。

ベビーカーは畳まずにUDタクシーに乗せられる?

UDタクシーは、ラゲッジスペース(荷室)が広いためベビーカーを畳まずに乗せられます。ただし、安全のため子どもは必ずベビーカーから降ろして乗車しましょう。

まとめ

UDタクシーは、誰でも利用できる便利で快適なタクシーです。

ただし、車いすで利用する場合は、車いすのサイズや重量が車両に対応しているかや、乗降場所にスロープが設置できるかを事前に確認する必要があります。

また、スロープの設置や収納に時間がかかるため、時間に余裕を持って出発することも大切です。

UDタクシーの運行状況は都道府県によって異なるため、まずはお住まいの地域で利用可能かを確認しておく必要があります。

なお、乗降時に介助が必要な方や、病院内への付き添いなど専門的なサポートを必要とする場合は、UDタクシーでは対応できないため、福祉タクシーを利用しましょう。

この記事を参考に、ご自身の目的や状況にあわせてUDタクシーや福祉タクシーを上手に使い分け、快適なお出かけをお楽しみください。